てっちゃんの考え方

①作業療法学生としての記事 ②教育に関する記事 ③趣味の記事

作業療法学生が大学院進学を決めたわけ[準備編]

皆さんどーも.

間隔開けてしまい申し訳ございません.

春から長らくやっていた実習を先日無事終えることができました.

これからは以前よりはちょっとマシに更新できるかと思います.

 

さて,今回は前回の記事の続きで,大学院進学の準備編ということでお話しさせていただこうと思います.

 

院進を決めた時期

大学院進学を決めたのは3月くらいでした.僕の学校では3年生の後期に卒業研究をやっており,2月末をめどに卒論を提出します.

 

当時の卒論の指導担当の教授(来春からお世話になる指導教官でもある)から,卒論提出した2月中頃くらいに,「修士課程行けよ」といわれました.

 

これに対し僕は,

「学部生からいきなり修士課程ってセオリー外やんけ!」と思いつつも,「うちの学科から直接うちの院行った人っていないからパイオニアやん!」

と邪心たっぷりの気持ちで院進を決めました.

 

なぜこんな適当だったかというと,以前の記事でお話しした通り,僕は少なくとも卒後2年たったら院進しようと決めていたというのがあります.

umajirou3.hatenablog.com

 

おまけに,この教授先生は以前授業で,

「最近は直接行く人もちらほら出てる.個人的には,臨床経験で言ったら同級生にちょっと遅れをとるかもしれないけど,院生として研究だけに励むっていうのも悪くないことだと思う.」みたいな話をしてました.

これを聞いた僕は「はぇ~.確かにな...」と感心しつつ,「ありかもな」と思ってました.

以上のようなバックグラウンドがあったので,今年の3月に院進を決めました.

 

4月から始めたお勉強

作業療法学生のみならず,多くの医系学生は4年生の前期はほとんど実習で占められているかと思います.

僕も例外ではなく,何なら10月の中頃まで実習でした.

実習は症例担当型だろうが診療参加型だろうが大変ですし,実習担当の先生とうまくいってようが何だろうが,毎日「追われている感覚」がして,ストレスマッハです.

 

こんな中で,進学のための準備をせねばならないわけですから,計画性が重要です.

幸いにも僕は塾の先生.

受験対策にはそれなりに精通していたので,能力と課題を客観的に評価しつつ,対策すべき項目を決めて限られた時間で勉強を進めました.

 

一般的な大学院の試験は,英語論文やそのabstract(要旨)が出題されて,意訳することがメインになってきます.小論文や専門領域のテスト,面接などもありますが,ほとんど英語で決まるといっても過言じゃありません(多くの教授からのお話).

 

4月の初め,実習が始まったころの僕は,英語の論文をまともに読破したことがなかった人間でした.

おまけに研究手法なぞ「卒論レベル」の質的研究くらいしか詳しくありません

ウィルコクソンの符号付順位検定だの,ラッシュモデルだの,項目反応理論だの,構造方程式モデリングだのはさっぱりです.(だってちゃんと教わってないもん♡)

 

こんな僕がやったお勉強マップが下図になります.

f:id:hybridrainbow-3324:20181031001128p:plain

 

実習中という学生には限られた時間内で院試の勉強を進めるには,朝の時間を活用する他ありませんでした.朝は課題もないし,あんまり疲れてもいないし,誰にも何も言われない.

なので,毎朝,実習開始の1時間前には病院につくようにし,マップに沿ったお勉強をしました.

時間の作り方なんざ,個人個人で変わると思うのであんまり参考にはならないかもしれませんけどね(笑)

 

このブログは実習Ⅱ期目から始めました.過去の記事をご覧いただくと,僕の「やったこと」がどんなことだったかざっくりですがわかるかと思います.僕にとってこのブログで記事を書くことは,ある種アウトプットの一環でした.

実を結んだかどうかはわかりませんがね...(笑)

 

おわりに

今回はこんな感じで,僕が実習期間中にどう院試の勉強を進めていったのかをざっくりですがご紹介しました.

僕なりにですが,僕の評価をし,僕のためのプランを考えました.

全国の作業療法学生さんで院に直接行きたい人がもしいれば,参考にしてもらえたら幸いです.

直接院に進む人の話なんて滅多に聞けないでしょうし,ネット探してもありませんでした.僕もそうでしたが,参考にできないことほど不安なことはないので,少しでも参考になるといいなぁと思ってます.

また,現在勤務されていて院進を考えている人にも少しは役立つのかなぁと思ってます.

まぁ勤務されて院を志している方は英語論文読み慣れている人もいるでしょうから,参考になるかわかりませんが...

 

何はともあれ,今回はこれにて閉廷!

お次は院試当日編でも書きましょうかね(笑)

作業療法学生が大学院進学を決めたわけ[動機編]

1カ月ほど更新をしてなくてすみません.

院試やら実習やら抄録書くやらで,マイペース更新を考えてるブログは後回しになっちゃいました.

今回から数回かに分けて,大学院進学についての感想をちょっと書いてみようかなと思います.

 

そもそも作業療法を志したわけ

僕は高校2年生の夏前まで教員志望で,某横浜国立大学を目指す健全な男の子でした.高1から小学生に野球を教えるコーチをしてましたし,天文部(正確には地球科学部)に所属してた時には小学校で授業をしたこともあるくらい教えるのは得意だし好きです.

 

そんな僕と作業療法のファーストコンタクトは作業療法士で当時私の所属する大学の准教授だった父がきっかけでした.当時の僕は父の仕事がどんな仕事なのか,どれだけ難しい仕事なのかよくわかっていませんでした.

ある日,「大学の先生ってなるの難しいのかな?」という疑問をもち,グーグル先生に聞いてみたところ,めっちゃ難しいことが分かりました(笑)

そのついでに作業療法士のことも調べたんですが,「は?」って言葉しか出てきませんでした.作業療法がさっぱり意味不明だったわけです.

 

そこから僕は作業療法とは何か?作業って何なのか?を調べるようになりました.吉川先生の「作業って何だろう?」って本を高校生ながら手を出したり,哲学や社会心理学に手を出したりといろいろやってみたんですが,高校生にはわからん!!

 

調べても微塵もわからない経験はそこまでの人生でほとんどなかった僕は,こんなことを考えました.作業療法を勉強するために作業療法士になって,その道で教員やればええやん!!」

そんな邪心100%の気持ちで作業療法士を志すようになりました.

 

大学院進学を決めたわけ

長々と脱線してしまいましたが,私が院進を決めたわけは私の夢が作業療法領域の教員だからです.

 

私は作業療法士として勤務するよりもそれを教える役割の方が数千倍向いてると思ってます.なので,作業療法士を目指してる学生さんや,既に作業療法士として働いている皆さんには大変申し訳ないのですが,私は大学入学時点で,臨床よりも教育・研究にしか目が向いてませんでした.

もちろん研究疑問の多くは臨床に落ちているわけですし,指導をするには臨床で得られる知識や技術を多く身に着けている必要があるので,臨床をおろそかにするつもりは毛頭ないですし,事実私は4年間常に成績上位でいられるように努めてきました.

 

しかし,現在・これから勉強する知識も技術,そして学位もすべて,「良い教員になるための準備」だと思っています.何度も書きますが,僕は臨床家よりも教育家の方が何千倍も向いてます.良い教員になって,よい臨床家をたくさん育てることが私なりの「作業療法」「社会貢献」だと思っています.

 

教員になるためには修士号は最低条件,いや博士号まで最低条件です.学位をさっさととってしまい,研究者としての道を確保する.そして教員になるために必要な臨床年数(5-10年くらい)の間に可能な限りの臨床の知識・技術を蓄えたいと思っています.なので,通常学部卒業後数年経っていくのがベターとされるこの業界において,学部卒業のタイミングで大学院進学をしようと決めました.

すべては「良い教員になるための準備」のためです.

 

まとめ

長々とお話ししましたが,私が院進を決めたわけ.これは「良い教員になるため」に必要な準備のうちの1つだからです.準備早めにすましておくタイプなので,このタイミングでの進学を決めました.

 

次回は院試準備編ということで,僕なりの研究テーマの決め方や,院試対策をお話しする予定です.

全国のOTRやOTSとのつながり

皆さんどうもこんにちは.

最近滅多にしないスケジュールミスをしでかして,血の気が引いたてっちゃんです.

今日は日記みたいにして,作業療法学生(OTS)である僕の,最近の変化についてお話したいと思います.

 

ここ数カ月くらいの活動

 今年の4月くらいから「そのまま大学院いこーかなー」と思い始めてから,日本語や英語の興味ある論文を手当たり次第に読み込むようになりました.ここ数カ月間は実習中ではありましたが,毎朝1時間ずつ論文読む習慣をつけ,4月から現在に至るまで,日本語論文10本くらい・英語論文15本くらい読みました.

おまけにテキストマイニングの研究に興味を持ったので,その道の人が読むような本を2冊買って読んだりもしました.

 

始めた当初は日本語こそすぐ読めたものの,英語は1本読むのに2週間くらいかかってました(笑)

最近は1時間あれば流し読みして概要理解くらいはできるようになりました.

やべぇ専門書も数学が幸い得意だったので,ある程度理解することができました.

 

そして,いろんな文献を読めるようになってくると,いろんなSNS上で飛び交う議論にも参加できるようになっていきます.

 

 

 こんなツイートを発信できるくらいにはなりました.

そんなこんなで,このブログを始めた6月くらいから色々身の回りに変化が現れるようになってきました.

 

いろんなつながり,いろんな変化

 その変化とは,OTRやOTSのフォロワーさんがめっちゃ多くなったということです.ここ2か月ちょっとくらいで,OTRやOTSのフォロワーが20人くらい増えました.

人数が多くなればなるほど,情報発信するモチベが上がるのですんごく嬉しいです!

 

さらに僕のこの記事を見てくださった,

umajirou3.hatenablog.com

吉備国際大学の京極先生(おそらくOTのSNS界隈で今一番有名な人)が,ご自身のブログの記事で,追記という形でご意見を書いていただくなんてエピソードもありました.

www.kyougokumakoto.com

正直,僕のクソブログに反応してくださる時点でも嬉しいのに,ブログまでとなると頭真っ白って感じで,対した反応できなかったのが悔やまれます(笑)

 

そんなこんなで,自分のするくだらない話が,ある程度「見られてるんだなあ」と最近思い始めました.

そして一個の目標ができました.

 

自分の意見を自信持って言えるようになりたい

 今の僕はネットとかSNSを通じなければ意見発信ができない,いわゆる「ネット弁慶」タイプの人間です.(これはまさに自身のなさの表れ(笑))

でも,これから大学院を目指すにあたって,そしてOTRとして生きていくためには,「自分の意見はどの環境でも述べられる必要がある」と感じるようになりました.

幸いにも,僕をフォローしてくださってる方の中には,ある程度僕の意見に賛同してくださり,応援してくれる方もいます.

そんな人のためにも,もっとオープンに自分の意見が言え,その意見を広く・ダイレクトに発信できるといいなと思うようになりました.

 

そのファーストステップとしてこんな活動に参加してみました.

 あんまこういうやつにアクティブに参加する方ではないのですが,自分を変える第一歩として,代表の「ち」さんに参加を表明してみました(笑)

どんな方向で,どんなこと具体的にやっていくのかはまだ決まって無いようですが,面白そうなのは確かです!

 

もしこの記事を読んで,参加してみたいというOTSの方がいたら,僕と一緒にいろんなつながりを持って,自己研鑽していきませんか?

夏期講習で偏差値は上がるのか【追記】

皆さんこんにちは.

たまには塾の先生らしく,タイトル通り夏期講習の話をしてみます.

どうやら医療系受験の子や高校受験の子なんかが僕のブログを見てくれてるみたいなんで,まじめに書いてみます.

 

【7/27 追記

 ラーニングピラミッドの件でご指摘がありましたので,内容を少しいじりました.

 

夏期講習は労働基準法違反

受験生の皆さん,その保護者の方,塾の講師をしている皆さんに問います.

夏期講習を行う意味って何ですか?

ぶしつけな質問になっていることは間違いないですし,塾講師をしている奴がこんなことを問うなんて頭の悪いことこの上なしだと思います.

 

 

なぜこんなこと言うかというと,

夏期講習はすんごい長時間労働だからです.

 

受験生は1コマ1時間半として,1科目20コマを3教科(90時間),一日5~6コマ(7.5~9時間)をザラにこなします.おまけに毎日それ相応の宿題(残業)を課されています.土日祝日関係ありません.お盆も受験生なら家で勉強です.

 

これを踏まえて,労働基準法を見てみましょうか.

・ 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。

・使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。

・使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

出典:厚生労働省.労働時間・休日

www.mhlw.go.jp

 

はい,労働基準法違反です.

まぁ夏期講習を受講する人は労働者ではないですいし,何ならサービスの受給者です.

こんなんに金払う意味あるんすかねぇ...(笑)

 

長時間労働と生産効率

学生にとって学業は仕事です.

そして,学生にとっての賃金は知識といってよいでしょう.

では「夏期講習」という「長時間労働」が発生していると,「知識の定着」という「生産性」はどうなるでしょう?

 

この図をご覧ください.

f:id:hybridrainbow-3324:20180723171630p:plain

出典:内閣府.平成29年度 年次経済財政報告.

第2-2-5図 一人当たり労働時間(年間)と生産性 - 内閣府

この図では,労働時間が短いほど生産性が高く,労働時間が長いほど生産性が低いことを示しています.

 

また長時間労働の是正について,こう述べられています.

これまでの研究によれば、長時間労働の是正や柔軟な働き方の導入などWLBの取組を進めることは、大きく4つの経路を通じて企業の労働生産性の向上につながる可能性が示されている(姉崎, 201032)。

 第一は、労働者のモチベーションを高める効果である。具体的には、WLB
の改善によって、士気の向上や欠勤等の減少といった効果が生じることが考えられる。

第二は、企業がWLBの推進を社外にもアピールすることで、企業に優秀な人材が集まりやすくなることによるものである。

第三は、WLBを推進することにより、従業員が継続して就業しやすくなり、採用コストや初任者に対する教育研修コストが低下することによるものである。

第四は、企業がWLBの実現のために、業務の効率化への工夫や、業務分担の見直しを行うことによるものである。
内閣府経済社会総合研究所による研究等では、WLBの取組が生産性向上につながる上記の4つの経路について、実際のデータに基づいて定量的な効果が検証されている。

※WLB = Work Life Balance(ワーク・ライフ・バランス)

出典:内閣府.平成29年度 年次経済財政報告.

第2章 第2節 働き方改革が生産活動に及ぼす影響 - 内閣府

 

 つまり,図とこれらの文献からわかることは,長時間労働はゴミ.バランスの良い時間でやれば生産性は嫌でも高くなる」っていうことです.

 

したがって,夏期講習で多くのコマ数を割いて勉強しても生産性が低いので,偏差値は上がりにくいです.

 

じゃあどうするか?

別に夏までに偏差値を上げる必要性はありません.最後受験するときにどれだけあるかの問題です.

じゃあ夏期講習もとい,夏でするべき勉強は何か?

それは「自分流の参考書づくり」だと私は考えています.

下図をご覧ください.

f:id:hybridrainbow-3324:20180723173753j:plain



これはラーニングピラミッドと呼ばれるものです.

おそらくですが,受験生諸君がやっている勉強というのは,よくて30%地点のデモンストレーションまででしょう.

それじゃダメだってことです.教えましょう.ジャンジャン教えましょう.

でもみんながみんな友達いるわけじゃありません.

なので自分を教えるために「自分流の参考書」を作るんです.それも各教科.

どんな風に作っていくかというと,僕と全く同じ考えで同じ作り方をされているYoutuberさんがいたので映像でご覧ください.

www.youtube.com

予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」(通称ヨビノリ)

www.youtube.com

twitter.com

 

【7/27 追記

ラーニングピラミッドのエビデンスが低いことを示す論文に関する記事があったので共有します.

kojitsuchiya.wordpress.com

私はこの記事と記事のベースになっている論文も見ましたが,確かになと納得しました.ラーニングピラミッド自体のエビデンスはほぼないといっても過言ではないかもしれません.

しかしながら,「自己流の参考書」を作ること意味がなくなったわけではありません.

皆さんは巷で「アクティブラーニング」という学習法が流行ってることをご存知でしょうか?自分流の参考書はこのアクティブラーニングの考え方を反映できていると私は考えています.

 

文科省はアクティブラーニングを,「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」としています.要は「自分が疑問に思ったことを見つけて,自分の力でそれ探求しよう」ってことです.

アクティブラーニングについて詳しくは下をご覧ください.

www.youtube.com

教育課程企画特別部会における論点整理について(報告):文部科学省

 

これを見てもらえれば分かりますが,グループワークやディスカッションは有効なアクティブラーニングの方法であるとされています.しかし,グループワークをしようがなんだろうが,「自分が疑問に思ったことを見つけて,自分の力でそれ探求しよう」ってことは変わりません.この点に「自分流の参考書」ってのが生きてきます.

 

指導された内容をノートに自分の分かる言葉でアウトプットしていくと,「あれ何でこうなるんだ?」と疑問に思うことが山ほど出てきます.この疑問は先生が教え損ねた内容になっていることがほとんどです.それを自分の力で調べ,調べた内容を自分が理解できるようにノートに書き加えていく.そして作ったノートを使って問題を解く.まさに能動的学習です.

少なくとも私はこの方法を中学生から今に至るまで実践して,どの段階でも成績は上位をキープしてきています.それなりに効果はあると思っています.(急に根拠が薄いですが(笑))

 

 

細々しちゃって申し訳ないですが,高校受験の人は急いで各教科の中3の範囲を全部終わらせることができるように,このノート作りをしつつ,自学自習に励みましょう.

 

これを作るくらいであれば,時間をかけつつ勉強ができるので長時間労働にもなりません.

参考書を作って自分を自分で指導するという目的の下の学習なので,学習効果もそれなりに担保されますし,没頭できるのであまり辛くないと思います.

 何よりノート作りって楽しくないですか?(笑)

 

最後に

夏期講習を受けても偏差値が上がりにくいのは構造上当たり前なのはご理解いただけましたか?

夏期講習で美味い思いをできるのは,塾の経営者だけです.受験生はもちろん,それに金を費やす保護者や,教えてる講師もたまったもんじゃありません.

こんなもんに数十万使っていると思うとバカバカしくてたまらなくなりますね(笑)

 

さて,夏にやるべきことは示しましたので,皆さん頑張って学習してくださいね(笑)

災害と作業療法

皆さん,お久しぶりです.

長いこと更新できなくてすみませんでした.

実習も2期目が終わり一段落ついたのでぼちぼち更新していきます.

 

さて,今回ですが先日の西日本豪雨を見て感じることがあったので,お話していきたいと思います.

 

災害と私

私は約22年ほど横浜で生活をしているので,幸いにも東日本大震災熊本地震,そして今回の西日本豪雨のような天災の直接的な被害にはあうことなく過ごしてきました.

そんな私ですが,東日本大震災が起きてからというもの,毎年3月近くになると,災害発生~1週間後までのニュース映像を欠かさず見るようにしています.

もちろん,微力ではありますが,今回の西日本豪雨においても募金や義援金を欠かさずしています.

また,これがきっかけかわかりませんが,「いろんな天災のメカニズムをもっと知りたい」「どうすれば防災・減災ができるんだろう」「災害ボランティアに行きたい」なんてことを考えるようになりました.

私は今作業療法の学生なので,今回は災害時のOTの役割を考えていきます.

 

災害時の医療

病院というのは,生きるか死ぬかの瀬戸際をさまよっている人が大勢いるところになります.では,そんなところで大災害が起きたらどうなるのでしょうか?

この映像は東日本大震災の際の石巻赤十字病院の初動を記録したものです.

お時間がある人はぜひご覧になってください.

www.youtube.com

私はこれを見たときに医師,看護師,臨床工学技士などの他職種の初動の速さや動き方などに衝撃を受けました.同時に,このような「切羽詰まった時」に何も出来そうもないリハスタッフにもどかしさも覚えました...

 

災害とリハビリ

そもそもリハスタッフは「切羽詰まった時」に働くような領域ではないのでしょうか?

この表をご覧ください.

f:id:hybridrainbow-3324:20180716234046p:plain

出典:大規模災害リハビリテーション対応マニュアル.2012;医歯薬出版

 

これをみると,リハスタッフの初動対応として,救命救助・トリアージが挙げられており,その他にも避難所の環境整備などがあります.またこの表を見れば,様々なフェーズでのリハスタッフの活躍が期待されていることがよく分かります.

私たちは日本にいる以上,「医療従事者」です.そして災害はいつ来るか分かりません.したがって,医療従事者であるリハスタッフは,常に,一次救命処置(Basic Life Support:BLS)の技術を磨き,トリアージの練習をしておくことが重要であると思います.

 

災害とOT

さて,本題です.

今までの前置きで,リハスタッフの仕事が初動から復興のフェーズまでたくさんある事はお話してきました.では災害時のOTは何をしていくべきなのか考えていきます.

 

災害が起きると必ず起こる事って何でしょうか?...

それは住んでいる環境の崩壊に尽きると思います.

住まいが壊されるというのは,その人の人生において致命的すぎるほどのライフイベントです.長期にわたる避難所生活を余儀なくされ,怒りや絶望,虚無感,不自由さなど様々な想いを感じることだと思います.

この状態を作業療法の用語として置き換えるのなら,

作業的不公正(Occupatinal Injustice)でしょう.

おそらく災害時は作業不均衡・作業疎外・作業剥奪・作業周縁化などのあらゆる項目が高く損なわれていると考えられます.

作業的不公正の枠組みを使って,災害の被害にあった当事者たちに関わりを持ち,1人1人のナラティブを聞きながら,その人に関する作業遂行の文脈を確立していく.そして,その人にとって意味のある作業ができるように仕向けていく(=enabling occupation).これができるのはOTだけかなと思います.

 

具体的に作業的不公正の枠組みを使った文献があります.茨城県立医療大学の齋藤さわ子先生が東日本大震災を受けて書かれたものになります.

第17回作業科学セミナー 佐藤剛記念講演

作業を通して人を理解すること~東日本大震災を経験してその重要さを改めて考える~

http://www.jsso.jp/JJOS/JJOS8/JJOS8-02-saitou.pdf

 この他にも災害を経験されたOTの方々が様々な事例報告をされています.気になる方はそちらから,実際の災害時のOTの実践を勉強してみてください.

 

最後になりますが,今回の西日本豪雨の被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます.

質的研究を変える(?)トピックモデル

こんにちは。

今回はテキストマイニングの手法の中のトピックモデルというのをご紹介します。

 

トピックモデルの前に…

トピックモデルをご紹介する前にテキストマイニングってなんぞや?という疑問を解決する必要があるかもしれません。

テキストマイニングは文字通り、Text(文書)からMining(採掘)する分析方法です。文書を細かく分解し、グループに分けたり、言葉同士のつながりの強さを分析したりなど、統計学機械学習を駆使して文書を解析します。

テキストマイニングは主に、GoogleやYahooなどの検索エンジンや、企業におけるアンケート分析なんかに使われています。

研究の領域では質的研究で用いられることがあります。あまり多くはありませんが、作業療法界隈では、東京工業大学の澤田辰徳 先生がクラスター分析という手法で使って研究をしています。看護分野では作業療法よりも比較的多く、ちらほら見かけるようになりました。

 

トピックモデルって?

さて、本題のトピックモデルです。

このモデルは最近できたばっかりの手法で、テキストマイニングの業界では結構ホットみたいです。

 

ざっくりとこのトピックモデルを説明しますと、文書というのは複数潜在的に存在するトピック(話題)から確率的に作られるものであると考えるというものです。

 

…さっぱりわからんって感じだと思います(笑)

もう少し掘り下げてみましょう。

サッカー日本代表、ワールドカップ初戦突破! 一夜にして渋谷の経済効果が例年の2倍に。」

こんな感じの文章があったとします。この中には、サッカー/日本代表/ワールドカップ/初戦/突破/一夜/し/渋谷/経済効果/例年/2倍 といった単語があります。

これらをよく見てみると、「サッカー」というトピックと「経済」というトピックの2つ潜在的な話題からできているのがわかると思います。

トピックモデルでは、この文書を、サッカーと経済というトピックから確率的に作られた単語を使って構成されていると考えます。

 

このように、トピックモデルは「文書における単語の出現確率」を「文書から導出したトピック」で推定し分析をするという手法であるということがわかります。

 

もっと詳しく仕組みを知りたい方は「トピックモデル」や「LDA」みたいな感じで検索すればOKです。書籍に関しては、僕は持っていますが、完全にその業界の人向けに作られているので、数学の知識が高2で止まっている人にはオススメできません。

 

質的研究とトピック

トピックモデルを今までご紹介してきましたので、次はこれが何で質的研究に使えるかという点についてです。

トピックを用いると何がいいかというと、関連のある単語同士を統計学的にカテゴライズできるということです。

GTAKJ法など質的研究において、カテゴリを作成時にはバイアスがかかりやすく、しっかりとやるのには熟練の技術が必要と言われてきました。しかし、トピックモデルがあればその工程が丸々統計学的に処理されます。つまり、かなり再現性の高いカテゴライズができるということになります。

 

また,大量の単語を、低次元のトピックとして圧縮できるというのも強みなので、いろんな分析でも使えそうですね(笑)

 

 

ここまでトピックモデルをご紹介してきましたが、僕の力量ではこれを説明するのはかーなーり難しいです…(泣) 何せやってることめっちゃ難しいんですよ…

 

 テキストマイニングの研究が発達していけば、トピックモデルだけじゃなくとも、質的研究のスタンダードとして普及していきそうな感じがしました。

 

今日はここまで!

トピックモデルは今後も取り上げますので、やってほしいことあれば僕のツイッターの質問箱に要望をお願いします。

ありがとうございました!

「目的としての作業」と「手段としての作業」

こんにちは.

今,大学院での研究のためにFisherさんが考案した作業療法介入プロセスモデル(Occupational Therapy Intervention Process Model;以下OTIPM)について勉強しています.このOTIPMですが,卒論で扱っており,学生って言い訳の保険をかけておきますが,結構詳しく知っているつもりです(笑) (全然分かってなかったらごめんなさい!!何でもしますから許してください!!)

 

今回はその勉強の軽いまとめ&作業療法学生さんや作業療法士の皆さんに向けた,介入の際の作業のチェックをするための記事になります.

 

作業を使う際の「目的」と「手段」って?

学校の授業でも習ったことがあるかと思いますが,作業を介入で使う際には「目的としての作業」「手段としての作業」の二つに大別されます.

 目的としての作業というのは,いわゆる対象者にとって「意味のある作業」と置き換えていいかと思います.対象者が価値や興味,役割など何らかの意味づけをしている作業を使います.「目的」というくらいなので,それができるように目標に据えることがあります.

 手段としての作業というのは,治療や支援のための媒体として作業を使うことです.例えば,片麻痺の対象者が促通のためにコインを入れる,うつ病の対象者が作業に没頭するためにアイロンビーズをやるみたいなものなんかが挙げられます.

察しのいい方ならすでにお分かりかと思いますが,作業療法の本質的に「作業」を利用するのであれば,目的としての作業を用いることが重要であるとわかるかと思います.

上記のようなこともあり,最近は目的としての作業をできる限り手段として利用できるような介入をすることが重要だと考えられています.

介入で使う作業はできる限りリアルに!!

さて,OTIPMの考案者であるFisherさんは,著書の中で以下のような図を使って作業療法士が用いる作業を説明しています.

f:id:hybridrainbow-3324:20180618211853j:plain

この図では日常生活との関連性・生態的関連性・目的を決める所在・意味を決める所在の4本をの矢印を使って介入で用いられている作業の分類を説明しています.

この図が言いたいことをざっくりというと,介入で使う作業はその人にとってできる限りリアルで,介入構造の目的や作業の意味づけをクライアントに理解してもらいましょうってことだと思います.

 

まだまだ分かりにくいと思うので,いくつか例を紹介してこの図をもとに作業を分類してみます.

Case1.左片麻痺で後ろファスナーのワンピースを着たい女性

作業療法士は左片麻痺なので,まず病衣の前開きのシャツを麻痺側から通して着る訓練をしました.この訓練を図をもとに考えてみると...

日常生活との関連性:

病衣として前開きのシャツは着ている可能性があるので少し関連あり.

生態的関連性:

文脈的におしゃれな人なので,病衣みたいなもの着ないと考えれられ,模擬的が妥当.

目的を決める所在:

作業療法がメニューを考えているので,作業療法士に所在がある.

意味を決める所在:

ワンピースを着たいのに前開きのシャツを採用しているのは作業療法士なので,作業療法士に所在がある.

Case1で用いた作業は,「とりあえず服を着る」ということに関してはクリアしていますが,「ワンピースを着る」という思いを反映した作業ではなく,非実践的あると考えられます.

Case2.職場で説明を求められ答えられず,抑うつ的になっているASDの男性

作業療法士はコミュニケーションの一環として,スタッフと日常的なコミュニケーションをとる訓練を行いました.この訓練を図をもとに考えてみると...

日常生活との関連性:

日常会話と職場でのコミュニケーションのされ方は少し異なると予想できるので関連はやや低い.

生態的関連性:

職場でのコミュニケーションをスタッフに置き換えているので,模擬的.

目的を決める所在:

作業療法がメニューを考えているので,作業療法士に所在がある.

意味を決める所在:

コミュニケーションが取れなくて困っているのを直したいと考えていると仮定すると,ややクライアント寄りとして考えられる.

 Case2はコミュニケーションに問題がある人に対してよく行われる訓練でした.しかしこの分類に基づくと,Case1と同様「職場でのコミュニケーション」に対して介入しておらず,クライアントがこのメニューの目的を理解し意味を感じているのかは少し疑問が残ることが分かるかと思います.

 

臨床場面で一般的だと思われていた作業は,意外と意味がないかもしれない...ということがお判りいただけたでしょうか?

 

意味のある作業はその作業で介入する

Fisherさんはまた,著書の中でこうも言っています.

「入手可能で優れたエビデンスは,個人因子や心身機能に焦点を当てた介入は,時間がかかるだけでなく,作業遂行のの改善への影響も少ないということを示している.つまり,研究は,作業遂行を制限している基礎的な原因が特定され治療されれば,その効果は作業遂行へと般化されるだろうという基本的か説を支持していない.」

これはつまり,意味のある作業(ワンピースを着る・職場で説明できるなど)ができるようになるために,片麻痺の促通をするであるとか日常会話のコミュニケーションをするといったような訓練を行うことは意味はない可能性があると言っています.

これは,「作業遂行ができるようになるためには,その作業をよく観察・評価をして,その作業で訓練をしましょう」というOTIPMの基本概念の根拠ともいえるものだと思います.

自分たちの使っている作業を見直そう

私はOTIPMを初めて見た時,言葉は悪いですが,日本作業療法のいい加減さみたいなものを感じました.日本の作業療法で用いている作業の多くが手段的ですし,目的としての作業でもほとんどが模擬的で,実際の意味のある作業を使って介入できている人はごく僅かです.

今一度,自分たちが使っている作業は「目的」なのか「手段」なのかを見直してみてください.また「目的」であったとしても,日常生活との関連性・生態的関連性・目的を決める所在・意味を決める所在の4本柱で考えてみて,本当に必要な作業なのかも考えてみてください.

 

最後まで読んで下さりありがとうございました.

実習と院試の勉強の中での記事なので,乱文や文脈,論理構成がが変なところもあるかもしれませんがご容赦ください…(笑)