災害と作業療法
皆さん,お久しぶりです.
長いこと更新できなくてすみませんでした.
実習も2期目が終わり一段落ついたのでぼちぼち更新していきます.
さて,今回ですが先日の西日本豪雨を見て感じることがあったので,お話していきたいと思います.
災害と私
私は約22年ほど横浜で生活をしているので,幸いにも東日本大震災や熊本地震,そして今回の西日本豪雨のような天災の直接的な被害にはあうことなく過ごしてきました.
そんな私ですが,東日本大震災が起きてからというもの,毎年3月近くになると,災害発生~1週間後までのニュース映像を欠かさず見るようにしています.
もちろん,微力ではありますが,今回の西日本豪雨においても募金や義援金を欠かさずしています.
また,これがきっかけかわかりませんが,「いろんな天災のメカニズムをもっと知りたい」「どうすれば防災・減災ができるんだろう」「災害ボランティアに行きたい」なんてことを考えるようになりました.
私は今作業療法の学生なので,今回は災害時のOTの役割を考えていきます.
災害時の医療
病院というのは,生きるか死ぬかの瀬戸際をさまよっている人が大勢いるところになります.では,そんなところで大災害が起きたらどうなるのでしょうか?
この映像は東日本大震災の際の石巻赤十字病院の初動を記録したものです.
お時間がある人はぜひご覧になってください.
私はこれを見たときに医師,看護師,臨床工学技士などの他職種の初動の速さや動き方などに衝撃を受けました.同時に,このような「切羽詰まった時」に何も出来そうもないリハスタッフにもどかしさも覚えました...
災害とリハビリ
そもそもリハスタッフは「切羽詰まった時」に働くような領域ではないのでしょうか?
この表をご覧ください.
出典:大規模災害リハビリテーション対応マニュアル.2012;医歯薬出版
これをみると,リハスタッフの初動対応として,救命救助・トリアージが挙げられており,その他にも避難所の環境整備などがあります.またこの表を見れば,様々なフェーズでのリハスタッフの活躍が期待されていることがよく分かります.
私たちは日本にいる以上,「医療従事者」です.そして災害はいつ来るか分かりません.したがって,医療従事者であるリハスタッフは,常に,一次救命処置(Basic Life Support:BLS)の技術を磨き,トリアージの練習をしておくことが重要であると思います.
災害とOT
さて,本題です.
今までの前置きで,リハスタッフの仕事が初動から復興のフェーズまでたくさんある事はお話してきました.では災害時のOTは何をしていくべきなのか考えていきます.
災害が起きると必ず起こる事って何でしょうか?...
それは住んでいる環境の崩壊に尽きると思います.
住まいが壊されるというのは,その人の人生において致命的すぎるほどのライフイベントです.長期にわたる避難所生活を余儀なくされ,怒りや絶望,虚無感,不自由さなど様々な想いを感じることだと思います.
この状態を作業療法の用語として置き換えるのなら,
作業的不公正(Occupatinal Injustice)でしょう.
おそらく災害時は作業不均衡・作業疎外・作業剥奪・作業周縁化などのあらゆる項目が高く損なわれていると考えられます.
作業的不公正の枠組みを使って,災害の被害にあった当事者たちに関わりを持ち,1人1人のナラティブを聞きながら,その人に関する作業遂行の文脈を確立していく.そして,その人にとって意味のある作業ができるように仕向けていく(=enabling occupation).これができるのはOTだけかなと思います.
具体的に作業的不公正の枠組みを使った文献があります.茨城県立医療大学の齋藤さわ子先生が東日本大震災を受けて書かれたものになります.
作業を通して人を理解すること~東日本大震災を経験してその重要さを改めて考える~
この他にも災害を経験されたOTの方々が様々な事例報告をされています.気になる方はそちらから,実際の災害時のOTの実践を勉強してみてください.
最後になりますが,今回の西日本豪雨の被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます.